放射線を用いて業務を行う
医者や歯科医師の指示を受けて、診療を目的とした人体への放射線照射を行うのが放射線技師の仕事です。被ばくしないようにコントロールされた環境で業務を遂行していきますが、具体的にどのようなことをするのでしょうか。
需要が高まる
これまでは医師や歯科医師自ら検査機器の操作をしていましたが、技術の進歩により機器は高度化し、検査自体も複雑になってきました。それに伴い分業化が進んだことで、検査機器の操作を専門に扱う放射線技師が必要となったのです。放射線を利用した検査機器の操作がメインですが、近年ではMRIや超音波検査などの放射線を利用しない検査機器の取り扱いも求められるようになっています。
主な検査内容
放射線を用いる主な業務を紹介していきます。放射線を用いる際に重要なのは、患者の被ばく量をできるだけ低減することです。また、被ばくという言葉に恐怖を感じる患者も多いので、丁寧に説明をして不安を取り除くことも大切な仕事のひとつです。
まずは「一般撮影検査(エックス線検査)」です。エックス線を利用して骨格や臓器を透過し、内部を撮影します。これまではフィルム検査がメインでしたが、現在はデジタル撮影によってより細かいポイントまで検査することが可能となりました。肺や心臓を撮影する胸部撮影、肝臓や腸などを撮影する腹部撮影、骨格を撮影する脊髄椎体撮影などがあります。この検査は、健康診断などで受けたことがある人も多いかと思います。
次が「CT(Computed Tomography)」です。いわゆるコンピュータ断層撮影のことで、あらゆる方向からエックス線を当て、その結果をコンピュータによって計算し、身体の断面を写しだします。
そして「マンモグラフィー」です。乳房のエックス線撮影のことで、乳がん検査で行われます。乳がんの初期段階で発生する石灰化を発見するのに役立ちます。石灰化は触診ではわからないので、マンモグラフィー検査は乳がんの早期発見に非常に役立っています。
4つめが「PET(Positron Emission Tomography)」です。陽電子放出断層撮影のことで、核医学検査の一種です。放射線薬剤を投与してがん細胞にマークを付け、それを撮影してがんを発見するための検査です。
最後が「放射線治療」です。腫瘍細胞に高エネルギーの放射線を照射し、破壊します。レントゲン撮影などで用いる放射線エネルギーの約100倍もの高エネルギーを利用します。
放射線を利用しない検査も
放射線を利用しない検査だと、まずは「MRI」があります。MRIは磁気を利用して体内を様々な角度から写しだす検査です。また、高い周波数を人体にあて、帰ってきた音波をもとに画像を写しだす「超音波検査」を取り扱うこともあります。放射線の被ばくがないことから、産婦人科で用いられています。