放射線技師の需要は続く

放射線技師になるための教育機関は全国各地にあります。毎年行われる国家試験においても、毎回多くの新人放射線技師が誕生しています。例えば2017年には約2,300人が新たに放射線技師の資格を取得しました。そういった状況からすでに飽和状態ではないかと考える人も多いようですが、実態はどうなのでしょうか。

放射線技師の需要は続く

就職難って本当?

放射線技師は就職難であると言われることもありますが、実態をきちんと整理すればまったくそうではないことが分かります。就職難と言われている理由のひとつには、ミスマッチが発生して上手く需要と結びついていないことが挙げられます。実際に、放射線技師の有効求人倍率は2016年の時点で2.19倍と高い数字を誇っています。就職難とはまったく程遠い数字ですが、実は求職者のほうが条件を絞りすぎているために上手く就職できていないケースが多いのです。大規模の病院に限定してしまうと、枠が限られてしまうので仕事を得にくいです。大学病院の場合は大学卒業者を求めるので、専門学校卒業者は特に就職しにくいでしょう。
また、単純に就職先を上手く探せていないケースも多いです。新卒の際は学校からの紹介、転職の際はハローワークや求人サイトのみで探している人が意外と多くいます。しかし、これだけでは得られる情報が少なく求人を探しきれているとは言えません。働きながら転職先を探す場合は特に難しいかもしれません。転職においては、転職エージェントの活用がカギとなります。一般には出回っていない非公開求人を得ることができるので、条件が合えばより良い環境に移ることが可能となります。

就職難って本当?

減ることのない需要

では、放射線技師の需要についてみていきましょう。医師と歯科医師を除いて、放射線を扱うことができるのは放射線技師のみです。例えば、医療現場において広い業務範囲を担う看護師であっても、放射線の利用は認められていません。医療は日進月歩で進化しています。業務の分業化がどんどん進み、医師や歯科医師自らが放射線機器を扱うことはさらに減っていくでしょう。そのため、放射線技師の需要は今後も続きます。
また、近年注目されている予防医学の観点からも、がんの早期発見が可能となる画像診断装置を扱うことのできる放射線技師はなくてはならない存在として活躍の場が増えていくことでしょう。最近よく、IoTやAIの活用によって人間の仕事が減っていくとメディアで報道されていますが、放射線技師は医師の指示や患者の状態に合わせて細かな調整や作業を行うポジションですので、人間にしかできない専門職として需要がなくなることはありません。

減ることのない需要